【体験談】いま不妊治療が辛いと感じている人に伝えたいこと

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最近は出産や育児に関する記事ばかり書いていますが、実は出産や育児よりも長い間、不妊治療をしていた時期があります。

私にはもうすぐ2歳になる娘がいますが、娘を授かるまでには3年半かかりました。不妊治療の体験を振り返ってみると色々な想いはありますが、一番は「もっと早く気づけたらよかった」と思うことが多々あるということです。

私にとっては3年半は娘と出会うためには必要な期間だったのかもしれませんが、もう少し早く色々なことに気づけていたら、あの治療期間はもっと違うものになっていたのではないかなとも思うのです。

※今回の内容は、すべて「過去の自分に伝えるなら」というコンセプトで書いています。現実問題に置き換えて、それぞれの事情によってできること、できないことはあると思いますが、記事の内容がすべて「そうするべきだ」という意味ではないことをご理解いただければと思います。

目次

職場には不妊治療中であることを伝えたほうがいい

私が不妊治療を経験してわかったことは、「治療はスケジュール通りにはいかない」ということです。予測通りに治療が進まなければ「明日また来てください」と言われることはザラにあります。

そのため、私は不妊治療が始まってまもなく上司(男性)にだけ治療のことを打ち明け、時短勤務に変えました。その後に不妊治療中であることを話したのは後輩の女の子2人にだけでした。(当時、私以外の女性社員はその2人だけ)

それだけでも十分ではありましたが、私はできるなら上司以外の男性の同僚などにも、不妊治療中であることを伝えておけばよかったと思うのです。

当時の私は不妊治療で時短勤務をしていることに罪悪感を持っていました。後輩に「他の人は知らないんですか?」と聞かれた時も、「うん。不妊治療って、別に治療しなくても命に関わるわけじゃないし…なんとなく言いづらくて。周りの人のモチベーションも下がっちゃうんじゃないかなと思って」などと答えた記憶があります。

「そうですかねえ…?」と後輩は首をかしげてくれましたが、本当に、彼女の素直な反応は正しかったのです。

治療の重要度は命にかかわるかどうかで決まるものではないし、何より他の人のモチベーションはそんなことでは下がりません。仮にもし下がったとしても、それはその人の問題であって、自分の責任ではないのです。

それよりも、同僚が治療について知らないことで、治療期間に急な仕事を依頼されたとしても、「治療のことは知らないのだから…」と無理をして応えてしまうことが増えてしまったので、そちらのほうが問題でした。

早めに同僚に治療のことを打ち明けていれば、例えば通院回数が増える治療期間の週は、急な仕事の依頼は対応できないことがあるなど、前もって伝えられたかもしれません。そうすればお互いにとってスケジュール調整もしやすいし、心身に無駄なストレスかかからないほうが治療もいい方向に進んだのではと思いました。

もちろん必要以上に周知する必要はないし、不妊治療を傘に着るというわけでもありませんが、せめて仕事でよく関わる人にだけは治療について伝えておいてもよかったのではないかなと感じました。

人の幸せを素直に喜べなくなってしまったとしても、誰も悪くない

人の幸せを素直に喜べなくなってしまったとしても、誰も悪くない

通院のストレスや治療の痛み、なかなか子どもができないことへの焦り…。不妊治療中に辛いと感じることは色々ありましたが、中でもジワジワとダメージが大きかったのが「周囲の出産報告」や「年賀状やSNSの子どもの写真」でした。

友人からの子どもの写真入りの年賀状や、SNSの子ども関連の投稿は、おめでたいことだし可愛らしいと感じるいっぽう、どうしてもそれを目にすると傷ついてしまう自分がいました。

もちろん、相手は傷つけているつもりは微塵もなく、勝手に傷ついているのは自分です。頭ではわかっていても、そんな自分に嫌気がさす時期が続きました。

あの時は「子どもの写真やめてほしいなぁ」とか「こんな風に人の幸せを喜べない自分はもう嫌だ」と思っていたんですが、実はこれ、別に誰も悪くないんですよね。相手はもちろんのこと、自分も。

今ならわかりますが、子どもが生まれたらもう可愛くて仕方ないので、年賀状やSNSに子どもの写真を載せたくなってしまうのは当然です。けれども、それと同じくらい不妊治療中に「子ども」の写真に傷つくのも人として当然です。決してマイナスの感情を抱いてしまう自分が悪いわけではありません。それなら、別に不必要に自分を責めることはなかったなと思いました。

メンタルは急には強くなりません。傷ついているにも関わらず、さらにその自分を責めていたら、状況は悪化するばかりです。それよりも、「妊娠」や「出産」と名のつくものや、何ならSNSからもしばらく距離を置くほうがよっぽど心穏やかに毎日を過ごせます。

実際に、私は不妊治療を始めて3年ほど経った頃から、「妊娠」や「出産」に関連するものは本や映画、テレビなどもあまり見ないようにしていました。今になってみれば、もっと早くそうしておけばよかったと思います。しばらく離れてみたら、少しずつまた自分が過敏になっているものを目にしても平気になる時がきっときます。

「限界」ではなく「期限」を決めてみる

以前に書いた記事でも触れていますが、私はゴールが見えない不妊治療がいよいよ辛くなってきた時に、ある決断をしました。それは治療のゴールを自分で決めることです。

不妊治療は、どんなに努力したからといって結果が伴うとは限りません。もっと言えば、妊娠できない限りいつまでだって治療は続くのです。不妊治療で一番辛いことは、もしかしたらこれじゃないかなあとも思います。

「いつまで続ければいいのだろう」「来年もその先も、ずっとこれが続くのだろうか」そんなことを毎日毎日、考えていました。そして、その答えは「神のみぞ知る」ことだと思っていたのです。

ですが、その答えは実は自分でも用意できます。勇気がいることですが、私は自分の治療の期限を「ここまで」と決めることにしました。その結果として妊娠できたとしても、できなかったとしても。

治療の期限を決めると今度はプレッシャーが強くなるかと思ったのですが、不思議と肩の荷がおりて気楽になったのを覚えています。状況は何も変わっていないのに、期限ができただけで「とりあえずここまでは頑張ろう」と前向きな気持ちになれました。

治療の期限を設定することは、自分で自分の「限界」はここまでだと決めてしまうように見えるかもしれません。ですが、自分の限界など、いったい誰が決められるでしょうか。それこそ、「神のみぞ知る」ことです。

自分で決められるのは、あくまで治療期間の目安である「期限」だけです。その時がきてもなお頑張れるのであれば、期限を延長すればいい話ではないでしょうか?逆に、そこで治療をやめたとしても、それは限界ではなく、期限まで精一杯やり抜いたという「成果」だと思います。どちらにしても、神様でも誰でもなく自分で決めたことならば、そこには必ず「納得」があるはずです。

ここまで書きましたが、必ずしも「期限を決める」ということが「不妊治療をやめる」などの大きな決断である必要はありません。たとえば、「ここまでは不妊治療を休む」という期限の決め方だってありだと思うのです。

長い道のりでも、無理なく前に進めるように、ゴールや休憩地点を自由に設定してみてください。

「もし子どもができなかったら」のその先を想像してみる

不妊治療中、私はずっと「もし子どもができなかったら」のその先を考えないようにしていました。それはとても辛くて悲しいことだと思い込んでいたからです。

ですが、不妊治療の期限を決めた途端、それまで目をそらしていた「子どもがいない未来」が否が応でも現実味をおび始め、「もし子どもができなかったら」のその先を初めてリアルに考えるようになりました。正直、考えていくうちに憂鬱な気持ちにもなりました。例えば、「両親はがっかりするだろうか」とか「治療をやめることを、夫の実家には謝りにいかなくてはいけないかな」などといった事柄です。

私の両親からも夫の義実家からも、そこまで「子どもはまだか」的なプレッシャーはありませんでしたが、それでも密かに孫を望んでいたと思うので、それを考えると心苦しい気持ちでいっぱいになりました。

ですが、思えば「子どもを作ろう」と決めたのも、「不妊治療の期限を決める」と決めたのも、遠方の両親のためではありません。自分自身と、パートナーである夫のためです。そしてこの先も、自分と最も身近で一緒に生きるのは夫なのです。私は夫に「もし子どもができなかったら」どう思うかきいてみました。

夫は「子どもがいた方がそりゃ嬉しいよ」と答えました。その後に「でも、『なんとしてでも』みたいな感じではないかな。もし子どもができなかったら、そのぶん旅行とかいっぱい行こう」と。

それを聞いた時は、目から鱗が落ちたように思いました。この人は、「子どもがいない未来」を辛いものとは考えていないんだ。「子どもがいる未来」とは違った方法で楽しく生きようとしているんだと。

長い間子どもを切望するあまり、私はそれまで「子どもがいる未来こそが幸せ」と思い込んでいました。たしかに、自分の未来に子どもがいるかいないかは大きく違います。「子どもがいる未来」でしか味わえない幸せはもちろんありますが、それと同じくらい「子どもがいない未来」にも、そこにしかない自由があり、体験ができる。きっと幸せもたくさんあるはずだと思うのです。

子どもがいる未来といない未来。きっとどちらの家族も幸せ。

それに気付いてからはまたも気持ちが楽になり、「もし子どもができなかったら、それはそれでいい」と思えるようになりました。

幸い、私はそのすぐ後に妊娠することができたので、もしかしたら今まで書いてきたことが説得力に欠けてしまうかもしれません。それでも、不妊治療に悩んでいた時、私はたしかに本気でそう思っていたのです。「子どもができてもできなくても、きっと幸せ

子どもができないことに苦しんでいた当時の私を救ってくれたのは、案外「子どもがいる未来」の自分ではなく、「子どもがいない未来」の自分だったのではないかと思うのです。なので、もし同じように苦しんでいる人がいたら、怖がらずに「もし子どもができなかったら」のその先について、一度想像してみてはいかがでしょうか。

さいごに

本当はもっと色々「あの頃の私」に伝えたいことがあるのですが、いったんはここで終わりにします。もし、いま不妊治療に悩んでいる人がいたら、参考になれば幸いです。

3年半の間、色々な思いをして、たくさんの経験をしました。全て、不妊治療を始めるまでは全て知らなかったことばかりです。辛いことや悲しいこともたくさんあったけれど、それがあったからこそ、たくさんのことに気づくことができました。その経験は、きっと自分の財産になってくれるはずだと思います。

以上、彩がお伝えしました!

具体的な不妊治療の乗り切り方はこちら

以前に自身の不妊治療について振り返り記事を書きました。より具体的な不妊治療の乗り切りエピソードもありますので、もし興味があればこちらもどうぞ!

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この記事を書いた人

彩のアバター UIデザイナー

自社メディアサイトのUIデザイナーを経てフリーランスとして活動しています。デザイン・コーディングからサイト運営・改善、バナー作成など色々やってました。

4歳の娘がいます。ゴッホとコーヒーとスナフキンが大好き。

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