デザインはどこから生まれる?ものづくりの発想と思考をシェアするイベント「DePre! Vol.1」参加レポート

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デザインはどこから生まれる?ものづくりの発想と思考をシェアするイベント「DePre! Vol.1」参加レポート
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目次

はじめに

今回のイベントには「PAKUTASO(ぱくたそ)」のすしぱく(@susipaku)さん、「Stocker.jp」のなつき(@Stocker_jp)さんと一緒に聴講させていただきました!

当日いらしていたすしぱく(@susipaku)さんに画像を数枚いただけないかお願いしたところ、快くOKいただきました!もう頭が上がりません…m(_ _)m

というわけで、今回の画像はすしぱく(@susipaku)さんのハイクオリティな画像と共にお届けします!

また、お二人の「デザイン制作にあたって心がけていること」など、「デザインに対する考え」をうかがうことができましたので、当日の様子と一緒に是非そちらも参考にしてみてください!

もくじ

「DePre!」とは

「DePre!」とは「ものづくりの発想と思考をシェアする」をコンセプトにデザイナー同士がプレゼンテーションしあうイベントです。「発想や思考のプロセス」や、「ものづくりの現場ならではの経験」という貴重なお話が聴けます。

ここで言うデザイナーとは、「発想と工夫と情熱を持ってものづくりを行っている人」とのこと。そのため、当日は一言で「デザイナー」といっても様々な分野のクリエイターの方々がいらっしゃいました。

http://depre.in/

DePre! Vol.1サイト

当日の様子

開催地は代々木上原駅にある「代々木上原バル シラントロ」。
こちらはスタッフの方々が昼間デザインのお仕事をなさっているらしく、昼はデザイン事務所、夜はバーに変身するという素敵なお店です。

http://www.cilantro-bar.com/

代々木上原バル シラントロ

こちらがドリンクチケット。「DePre!」のテーマカラーは黄色です。

「DePre!」チケット

当日のセッション

「ゆらめき、ひらめき、きらめき デザインの思考と発想」

スピーカー:牧下浩之さん / クリエイティブディレクター/デザイナー

牧下浩之さん

牧下さんのお話はまさにイベントのテーマである「発想と思考」についてでした。とても深いお話だったので、自分なりに印象に残った部分をご紹介します。

デザインの過程は3つあり、それぞれ「動機(ビジョン)」・「手法(コンセプト)」・「表現(成果物)」という段階を経て出来上がります。「発想」と「思考」はこの「動機」の部分にあたります。

牧下さんいわく、「発想」の根源は「好み」とのこと。好きなものの中からデザインが生まれます。ですが、当然デザインは自分が「好き」なだけでは成り立ちません。

その後に起こるのが「思考」だそうです。思考の根源は「納得」。自分はなぜこれが好きか?他の人から見ても好かれるデザインか?客観的に見て考えることが思考だそうです。その発想と思考の間をさまよって、デザインが出来上がっていきます。

私が興味深かったのはこの「思考」の部分です。確かに「ただなんとなく好きだから」では、きっと理由のないあやふやなデザインになるでしょう。

それを自他共に納得のいくレベルまで落とし込む。そこで初めてデザインに「意味」が生まれますよね。これは、自分の中で現在最大の課題となっている部分です…。

牧下さんによると「思考力」を鍛えるには「多くの情報を蓄え、それを他者に伝える」ことが有効だそうです。この作業は「ブログを書く」ことと非常に似ていると感じました。日々自分の好きな事を探し、蓄え、それを考え、アウトプットする。これを意識しつつ、ブログを書いていけたらデザインの思考力が鍛えられるのではないでしょうか。

「仮説住宅を彩る」

スピーカー:新井文月さん / 絵描き

新井文月さん

新井さんは東日本大震災により建てられた仮設住宅に絵を描く活動「フラワープロジェクト」に携わりました。こちらはプロジェクト自体が「デザイン」だったので、一風変わったお話を聞けました。

新井さんの言葉で印象に残ったのは、「このプロジェクトでは『描いてあげる』という姿勢のデザイナーは受け入れられない」という言葉です。デザインはクライエントあってのものなので、例えどんなに有名なデザイナーであっても、一方的に「自分の絵」を描くだけではクライエントに伝わらないのですね。

それを踏まえた上で、荒井さんはクライエントの声によく耳を傾け、意見を尊重し、たくさんの話し合いを重ねた結果、なんと「荒井さんが描く絵なら何でもOK」という領域にまで信頼を得られたそうです。

新井さんは「絵を描く」だけのデザイナーではなく、「クライエントと一緒にプロジェクトを創る」デザイナーとして活動されたんだな、と感じました。クライエントとの交流の段階から、「デザイン」は始まっているのですね。

「デザインの発想。その種と器」

スピーカー:大倉 壽子さん / アドビの旅芸人

大倉 壽子さん

大倉さんはデザインを考えていて煮詰まった時、一風変わった方法でインスピレーションを得るそうです。

それは、「音を聴く」ということ。会場で、大倉さんはご自分のiPadを取り出し、「ポーン」とピアノの音をみんなに聴かせました。

「これを聴いて、何をイメージするか?」と自分で問いかけるそうです。その音からパッと一瞬で思いついたものをデザインのヒントにするのだとか。(音は単音でも和音でもよく、音の種類(何かものを叩いたりする音でも可能)や長さも自由だけれど、とにかく「一瞬で答える」ということだけが唯一絶対のルールとのこと)

私はとてもこの方法が面白いと感じました。何より「どこでも実行可能」なのがすごいです。今までインスピレーションを得る為には、PCで美しいデザインを見たり美術館に足を運ぶなどしていたのですが、それらは「どこでも」という訳にはいきませんよね。

その点、大倉さんの方法はとても便利だと感じました。今後、煮詰まった時に試しに取り入れてみようかと思います。

「見せるを構築する」

スピーカー:ウッキー☆さん / 写真家

ウッキー☆さん

ウッキー☆さんは写真を撮ることを「自分の好きを具現化すること」と表現しています。「好き」から作品が生まれるというのは、デザイナーの牧下さんと共通しているのですね。

けれども、写真家とデザイナーで違う点もあります。それは、デザイナーは考えながら作業をしますが、写真家は一瞬が勝負ということです。つまり、写真を撮る時は考えている暇がありません。

その代わり、「自分は何が好きなのか?」「何故ここでシャッターを押すのか?」ということを写真を撮る以外の時間にまとまって考える必要があるそうです。「好き」から生まれるという「発想」の段階は一緒でも、「思考」のタイミングは違うのですね。

作品を創る上では、「自分は何が好きか」を明確に知ることが重要ということを知りました。

一緒に聴講したお二人にもきいてみました

すしぱく(@susipaku)さんの考え

今回はデザインと発想について、それぞれ考え方があって面白かったですね。

デザインのインスピレーションやセンスってどうしても先天的な要素が強いので、努力しても越えられない壁だと常日頃思っています。作家さんの展示を見ながら良い所だけを盗むとしても、それはあくまでもオリジナルではなくコピーですし、商業デザインってそんなものだと思っています。

自分も含みそのような人間が、追いつこうとするためには考え方自体を変えなくてはいけないと思っていたりするのです。うちのブログにも書いている通り

ホワイトボードに黒い丸を描いて、『これは何でしょう?』っと大人たちに問うと、『黒い丸』や『点』などと答えますが、子供たちに問うと、『お母さん!』とか『お寿司!』などと答えてくれる。

これが自分の発想の根本であり考え方なのかもしれません。

その作品がデザインとして可否なのか、アートとして認められる是非の世界なのかは分かりませんけど、村上隆さんの作品、大手企業のWEBデザイン、プロの写真家が取った写真など根本考え方は同じで進む方向だけが違うのではないかなっと、

そしてアートないしデザインは作り出されていくのではと思います。使いやすいUIとかカラフルな色彩とかね。

あと関係ないですが、ウッキーさんの

『展示に来てくれた方は来てくれただけで、費用を支払っている(交通費とか時給)』

っという事を忘れてはいけないですね。

なつき(@Stocker_jp)さんのこだわり

なつきさんにも猛アタックをかけて、「デザイン」についてのご意見をきいてみました!ありがとうございましたー!

なつきさんいわく、

私の場合は、見た方に違和感を感じさせないようにナチュラルな配色を心がけているということくらいですかねー

とのこと。

確かに、なつきさんはデザインを制作する時、自然の法則に則って制作なさっている印象を受けます。例えば光の当たり方ひとつを取っても床からの『反射光』まで考慮に入れて制作をなさっています。

[連載]Webデザイン入門(3:光とボタン) | Stocker.jp

デザインを見た瞬間にスッと違和感なく入ってくると印象にも残りやすいし、見ていて気持ちいいですよね。「デザイナー」ならではの気遣いやこだわりを感じます。

自分も考えてみる

僭越ながら、私も自分のデザインについて考えてみました。特に、「発想」について書いてみようと思います。

牧下さんのお言葉にもありましたが、デザインの「発想」の根源が「好み」というのにはとても共感します。私もデザインを考えるとき、やっぱり自分が「好き」なものからヒントを得ることが多いです。では、自分はその「好き」なものをどこで発見して、どうやって「ストック」してきたのかな、と掘り下げてみました。

一例で言うと、私は好きなデザインを身の周りに飾っています。昔からポストカードや自分で撮った写真を壁一面に貼っていました。

飾り付け1
飾り付け2


賃貸なので控え目ですが、実家にいた時はもっと激しく貼っていましたw

例えば好きな画家の絵のこの配色が好き。この構図が好き。このフォントが好き。この表情が好き…。毎日見ているといつの間にか自分の中に「好き」の要素が「ストック」されていきます。忘れちゃってもいつでも眺めることができますし、たまにふと壁を見た時「やっぱこの色とこの色の組み合わせいいなあ」などと改めて考えたりします。

さすがにそれだけでは限界があるのでEvernoteなども使っていますが、とにかく日常的に好きなものを眺めたりして「ストック」していると、いざ!という時に役に立つと思います。こうして「ストック」されたこれらの「好き」にデザイン制作時に助けられたことがたくさんあります。

けれど、すしぱくさんの言葉にもありましたが、「ストック」したものをそのまま表現しただけでは、作品が「オリジナルではなくコピー」となってしまいます。それを防ぐためには、「創るのは『自分』なのだ」という意識が常に必要だと思います。

「ストック」したものから発想を得て、そこに「オリジナル」の要素をプラスする。それが一番難しく、苦しい部分なのですが、同時に一番やりがいがあり、楽しい部分であるとも思います。未だ試行錯誤の最中ですが、私にとって「デザイン」はいつもその繰り返しのような気がします。その先にいつか「自分だけのオリジナル」が生まれたら、とても嬉しいことですよね。

さいごに

とっても長い記事になってしまいましたが、いかがでしたか?「デザインを創る前」のお話。人それぞれ色々な発想方法やデザインに対する考え方があるのですね。

デザイナーは、ただグラフィックツールを駆使して作品を創るだけではなく、その前から既に「デザイン」は始まっています。よーく心に刻んで、明日からも「デザイナー」として生きていけるよう、日々精進したいと思います。

ところで、私の「発想のタネ」は自分の好きなものを飾ることでしたが、人によってはぼーっとする、ヨガをする、空を見るなど、その方法は様々かと思います。

以前、「Webクリエイターボックス」のマナさんはインスピレーションを得るためにカメラを持って外にお散歩に行くという記事を読み、なるほどなぁと思いました。
デザインのインスピレーションを求めて外に出よう! | Webクリエイターボックス

また、「四畳半ワークス」のmasakiさんはデザインは誰かを「思いやる気持ち」から生まれると言っています。この考えもとても素敵ですね。
デザインって思いやりの形だと思うんだ | 四畳半ワークス

みなさんの「デザイン」はどこから生まれてきますか?
おススメの発想法などありましたら、ぜひ教えてください!

以上、先日買って一週間も経たずにMBAを電車に置き忘れて死ぬ思いをした彩がお送りしました!(戻ってきましたけどね!)

※今回の記事はすしぱく(@susipaku)さんやなつき(@Stocker_jp)さんにもご協力いただきました。本当に感謝です。お二人とも本当にありがとうございました!

デザインはどこから生まれる?ものづくりの発想と思考をシェアするイベント「DePre! Vol.1」参加レポート

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この記事を書いた人

彩のアバター UIデザイナー

自社メディアサイトのUIデザイナーを経てフリーランスとして活動しています。デザイン・コーディングからサイト運営・改善、バナー作成など色々やってました。

4歳の娘がいます。ゴッホとコーヒーとスナフキンが大好き。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 「DePre!」というイベント自体を知らなかったので、勉強になりました。
    個人的には、彩さんも「仮設住宅を彩る」で触れられていましたが、「プロダクト」だけではなく「プロジェクト」全てをデザインすることが大切だと思っています。

    私自身、いわゆるデザイナーではないのですが、第2回目があったらぜひ参加してみたいイベントですね。

    • みぞさん

      コメントありがとうございます!
      本当にそのとおりですね。私はつい作品を創ることだけに手いっぱいになりがちなのですが、本当はプロジェクト全体を「作品」と考えてこそ「デザイナー」なのだな、と痛感しました。自分はまだまだ半人前だなぁ、とも(>_<) とても興味深いイベントでした。もし機会があれば、ぜひぜひみぞさんも参加してみてください☆

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